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食薬ってなに?

BY: 大久保 愛

2023/03/24

コロナの流行もあり、ここ3年くらいの間に予防医学が注目されてきています。また、同時にここ10年程度で予防医学の分野が指数関数的に研究が進み、予防としてできることの具体的な選択肢が増えてきています。

オートファジーやサーチュイン遺伝子、ミトコンドリア、細胞、時計遺伝子、エピジェネティクス、副腎疲労など様々な言葉に触れる機会が増えてきていますよね。

その影響もあり、健康オタクといわれる人達のレベルも上がってきていると感じています。賛否両論あった健康法も明らかになってきていることが増えたおかげもあり少しずつ統一されつつあります。健康に対して何をしたら良いかということが一昔前よりも信憑性、具体性が増してきていることを実感している人も多いと思います。そこで今回は薬剤師である著者が、予防医療の一つとして存在する『食薬』について解説していきたいと思います。

 

■注目が集まる食養生

頭やからだが常に「ダルおもい」とか季節の変わり目に体調を崩すなど自分の心と体をコントロールできなくなるような悩みを抱える人が多くなり、毎日の食事を見直して、「食べる薬=食薬」を実践したい、学びたい、セルフメディケーションを行いたいと考える人も増えています。

毎日、必ず選択肢が生じる食事に対する知識を身に着けることは、「未病」を治すことや病気の「予防」にも役立ち、健康寿命をのばす上で欠かすことのできないスキルだと考えられます。

 

■『食薬』と『漢方医学』

まず、食薬とは『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論です。

この『食薬』のベースともいえる『漢方医学』は、経験則に基づいて成り立っています。ですので、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があると考えることができます。

また、近年急成長する予防医学の生命科学などの分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。

漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。ですが、古代とは違い現代では様々な研究が進み明らかになっていることが増えています。

様々な研究が進み『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が必ず生じる食事の内容としてアウトプットしていくことに特化したのが『食薬』です。

■食薬は習慣としてはじめて意味がある

食薬は、健康に良い食事とはいえ、1回では全く意味を成しません。食事は、薬ではないので、即効性をもとめるものではないからです。食事は、1日3回程度必ず選択が生じるものである、心と体を構築する材料でもあります。

日々の食にまつわる小さな選択の繰り返しは、単発で考えると体に良くも悪くも与える影響は小さいものです。ですが、それを10年、20年と一生続けるものであり、小さな選択の結果は、遠い将来の私たちの体に大きな影響を与えるものとなります。

日々の小さな選択肢は無意識レベルでこなしていくことが多いと思いますが、健康的な基礎知識をもっていると自然と体に良いものを選ぶ確率が高まります。

食事を選ぶ時の基準として、安い・うまい・はやいなどの基準に加え、健康にプラスかどうかということも加えていただけることが食薬の第一歩といえます。人生の中でもっとも若い今日から、食事に対する意識をちょっとずつ健康志向に変え、食薬の知識を身に着け、習慣とすることが大切です。寝たきりで楽しくない老後を迎えないように、今から健康寿命をのばすよう行動していきましょう。

健康は、瞬発的な行動ではなく、コツコツと続ける地味な行動が必要不可欠です。一緒に頑張りましょう。

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