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女性と血糖スパイク:血糖スパイクの見つけ方

BY: 池田 由依

2024/09/19

血糖スパイクは、食後に血糖値が急激に上昇し、その後急降下する現象です。この急激な変動が続くと、糖尿病や肥満、心血管疾患などのリスクが高まるため、注意が必要です。男女ともに注意が必要ですが、特に一般的にホルモンバランスの変動の影響で体調の変化を感じやすい女性にとって、血糖スパイクの起こらない状態を維持することは、普段の生活の質に大きく影響を与えるものでもあります。

では、血糖スパイクをどのように見つけ、管理すればよいのでしょうか?この記事では、女性に特有のホルモン変動やライフスタイルの影響を考慮しつつ、血糖スパイクの見つけ方を詳しく紹介します。

女性の体と血糖スパイクの関係

漢方で女性は七の倍数で体の変化が訪れると考えられており、これらの変化は女性ホルモンの推移とともに確認することができます。

28歳 女性ホルモンの分泌がピークに達する

35歳 卵巣機能の低下に伴い女性ホルモンの分泌は減る

42歳 女性ホルモンの分泌が急激に減り始めプレ更年期を迎える

49歳 女性ホルモンが20代の半分程度になる

56歳   卵巣機能が停止し、アフター更年期を迎える。女性ホルモンの分泌を副腎に頼るようになり、老年期を迎える

女性ホルモンの一つであるエストロゲンの大きな役割は生殖であり、妊娠・出産・哺乳にとって重要であるだけでなく、それらのライフイベントに備えるために骨や血管を丈夫にする働きもあります。したがって、エストロゲンの分泌が低下する更年期にはエストロゲンの分泌の乱れによる症状(ほてり、不眠、など様々な更年期症状)が、また閉経を迎えると骨粗鬆症や動脈硬化などの病気が出現しやすくなります。

ホルモンバランスによる体の変化

女性ホルモンの影響は一生の間だけでなく、生殖可能な期間つまり、初潮から閉経まで女性は約1ヶ月ごとにエストロゲンによる影響を受けます。

生理周期は低温期と高温期に分かれており、低温期にはエストロゲン、高温期にはもう一つの女性ホルモンであるプロゲステロンの分泌が優位になります。プロゲステロンには血糖値を上げやすくする作用があり、エストロゲンには血糖値を下げやすくする作用があると考えられており、妊娠すると糖尿病にかかりやすくなるのはプロゲステロンなど血糖値を上げるホルモンが分泌される高温期が持続するからです。血糖値だけでなく、生理前や生理中に現れる生活に支障が出るほどの体調不良もホルモンバランスの乱れに基づいて現れる異常な変化の一つです。

血糖スパイクのサインを見逃さない

女性ホルモンの変動により、体調に変化の現れやすい女性ですが、血糖スパイクがあると輪をかけて体調が悪くなるので、健康管理のベースとして血糖スパイクが起こらない体づくりをすることは重要です。血糖スパイクを見つけるために、まずは体が発するサインに注目しましょう。

食後の強烈な眠気

食事の後に突然強い眠気が襲ってくる場合、血糖スパイクが起こっている可能性があります。体が糖分を一気に吸収し、急激な血糖値の変動によってエネルギーの急激な消耗が引き起こされるためです。

急激な疲労感やイライラ

食後1~2時間ほど経過した後に、急に疲労感を覚えたり、イライラすることはありませんか?これは血糖値が急降下しているサインです。血糖スパイク後の急激な血糖値低下によって、体は再び血糖値を上げようとし、その際に放出されるアドレナリンやコルチゾールなどにより頭痛やイライラ、動悸、不安感などの症状が出ることがあります。

甘いものへの強い欲求

血糖スパイクが続くと、低血糖の状態に陥り、体はエネルギーを補おうとして、甘いものや炭水化物を強く欲するようになります。甘いものが無性に食べたくなる時は、血糖値の急激な変動が原因かもしれません。

生理前の甘いもの欲求

月経前の黄体期(排卵後~月経まで)は、女性ホルモンであるプロゲステロンが増加し、血糖値を不安定にすることがあります。プロゲステロンの影響で、ただでさえ甘いものへの欲求がでやすいこの時期にはさらに血糖スパイクによりその欲求が強まる可能性があります。

自分の血糖値を定期的にチェックする

血糖スパイクを正確に把握するためには、血糖値のモニタリングが有効です。連続血糖測定器(CGM)であるFreeStyleリブレ2を用いることで食後血糖や夜間低血糖の有無を知ることができます。上腕の後ろ側にセンサーを取り付けることで皮下の間質液中(細胞と細胞の間にある液体)の中のグルコース濃度を測定しスマホのアプリと連動することで経時的に記録でき、1回の装着で2週間分の記録をつけることができます。

食事の内容やタイミングに注意する

血糖スパイクを防ぐためには、日常の食生活を見直すことが大切です。血糖スパイクは体に素早く吸収される糖質によって引き起こされるので、特に食事の内容やタイミングが重要です。

食事の順番を工夫する

食物繊維が豊富な野菜を最初に食べることで、糖質の吸収を緩やかにすることができます。次にタンパク質や脂質を摂り、最後に炭水化物を摂取する順番を心がけましょう。具体的には、最初に野菜や主菜やスープを食べてからご飯やパンを食べるイメージです。

間食の種類に注意する

甘いお菓子やジュースなどの間食は、血糖スパイクの原因になりやすいです。血糖スパイクが起きている場合、食後2〜3時間後にまた急激にお腹が空くことがあり、我慢しているとさらなる血糖スパイクにつながります。我慢せずに間食はとったほうがよいですが、急激に血糖値を上げてしまうものの代わりに、ナッツや甘栗など血糖値を急激に上げにくい食材を選ぶと良いでしょう。血糖値を上げやすい食材には個人差があるので、自分にとって調子の良い食材を見つけることも大切です。

規則的な食事時間を心がける

食事のタイミングも血糖値に影響を与えます。食事時間が不規則になると、血糖値が不安定になりやすいため、決まった時間にバランスの取れた食事を摂ることが大切です。

食後すぐに軽い散歩をする

食後すぐに行う軽い運動はインスリンと同様の働きをするため、血糖の急上昇の防止に効果的です。激しい運動は胃腸の動きを低下させるため、あくまでもゆっくりと20分程度の散歩する意識でいると良いでしょう。

漢方薬の活用

食事でコントロールできないほどの不調がある場合は、漢方薬に頼るのも手です。月経周期の影響を受けている場合は「肝」(自律神経)を整える作用のある漢方薬、更年期のエストロゲン分泌の低下による影響を受けている場合は「腎」を整える作用のある漢方薬などが効果的なので、医師や漢方専門の薬局などで相談してみましょう。

まとめ

血糖スパイクは、女性特有のホルモンバランスの変動によってその不調に気づきにくく、体調不良の悪化の原因となりやすいですが、自分の体のサインを見逃さず、血糖値を定期的にモニタリングすることで、早期に気づくことが可能です。食事の選び方やタイミングを工夫し、血糖スパイクを防ぐことが健康維持に役立ちます。自分のライフスタイルに合わせて適切な対策を取り入れ、健やかな毎日を送りましょう。

この記事が、血糖スパイクに悩む女性の皆さんに役立つ参考になれば幸いです。

 

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