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脳は油でできている(脳は油がいのち)

BY: 吉岡 千幸

2024/06/11

私たちの脳は、体の中で最も油っぽい臓器です。

水分を除けばその重さの60%が油でできています。だからこそ、どんな油を摂るかで脳の健康が大きく変わってきます。特に油分は、体の中でも油の多い部分に溜まりやすい傾向があります。

つまり脳は摂った油の影響を最も受けやすく、良い油で満たされた脳は、私たちの思考力や集中力を最大限に引き出してくれるということになります。

 

■脳と油の関係

脳の神経細胞は、おもに脂肪酸という物質でできた膜に包まれています。細胞本体はもちろんのこと、情報伝達のために長く伸びた軸索(じくさく)と呼ばれるケーブル部分、そして細かく枝分かれした樹状突起に至るまで、この膜で覆われているのです。

脂肪酸とは、食事からとった油が分解されたものです。つまり、食事から摂る油の質によって脳の油の質が決定されるということです。

■脂肪酸の種類

脂肪酸とは何でしょうか?

脂肪酸とは、私たちの体にとってとても大切な成分のひとつで、特にエネルギーを作るために使われます。体を動かすエネルギーや、脳を働かせるエネルギーの源になるので、健康に欠かせない存在です。

脂肪酸は主に次のような働きをします。

  • 細胞を動かすエネルギーになる: 脂肪酸は、運動する時や考える時など、体のあらゆる活動に必要なエネルギーを供給します。
  • 細胞膜、ホルモン、核膜などの原料になる: 脂肪酸は、体の細胞の壁を作ったり、ホルモンや遺伝子情報を保護する膜を構成したりします。
  • 皮下脂肪として寒さやショックから保護する: 脂肪酸は体の下に蓄えられ、寒い時に体を温めたり、外部からのショックを吸収したりする役割を持っています。
  • 脂溶性のビタミン(A.D.E.K)の吸収を促進する: 脂肪酸は、これらの重要なビタミンの吸収を助けるので、健康を維持するために欠かせません。

脂肪酸の種類

脂肪酸にはいくつかの種類があり、それぞれが体の中で異なる役割を果たしています。

1.飽和脂肪酸

飽和脂肪酸には「長鎖脂肪酸」と「中鎖脂肪酸」という2つのタイプがあります。

長鎖脂肪酸

特徴:

  • 常温で固体の状態です。
  • 肉やバターなどの動物性食品に多く含まれています。

役割:

  • エネルギーの蓄積: 長鎖脂肪酸はエネルギーをたくさん蓄えるために使われます。例えば、寒い時期や長時間運動する時に役立ちます。
  • 健康リスク:摂りすぎると、心臓や血管に負担がかかりやすくなります。これは心臓病や高血圧の原因になることがあります。
中鎖脂肪酸

特徴:

  • 常温で固体ですが、溶けやすいです。
  • ココナッツオイルやMCTオイルに多く含まれています。

役割:

  • すぐにエネルギーになる: 中鎖脂肪酸は体内ですぐにエネルギーとして使われるため、運動前や集中力を高めたい時に役立ちます。
  • 脳の働きを助ける: 中鎖脂肪酸は脳のエネルギー源となり、思考力や記憶力を向上させる助けになります。
  • 強い抗菌作用: カンジタ菌など病原菌の対策になります。

 

 

2.不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸はさらに2つに分けられます。

一価不飽和脂肪酸

 ・特徴: 常温で液体。オリーブオイル(オメガ9脂肪酸)に含まれています。

 ・役割: 悪玉コレステロールを減らし、消化器や内臓の機能を高めます。

多価不飽和脂肪酸

 ・特徴: 常温で液体。さらにオメガ3脂肪酸オメガ6脂肪酸に分かれます。

 ・役割: 脳の働きを助け、体の炎症を抑えます。

 

■オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸

オメガ3脂肪酸
  • 特徴: 魚やナッツ(クルミ)、アマニ油、エゴマ油に多く含まれています。
  • 役割 :脳の働きを良くする「スーパーヒーロー」のような存在です。脳の細胞を強くし、情報を伝えるのを助けます。これにより、考える力や記憶力がアップします。さらに、オメガ3脂肪酸は体の中で起こる炎症を抑える働きもあります。血行も良くなり炎症が減ることで、体全体の不調が改善され、心も落ち着きます。
  •  DHAとEPAという成分が特に重要です。 
    • DHA(ドコサヘキサエン酸)
      • 特徴: 青魚(サバやイワシ)に多く含まれています。
      • 役割: 脳の細胞を守り、記憶力や学習能力を向上させます。
    • EPA(エイコサペンタエン酸)
      • 特徴: 青魚に多く含まれています。
      • 役割: 炎症を抑え、血液をサラサラにします。
オメガ6脂肪酸
  • 特徴: サラダ油や紅花油、コーン油に多く含まれています。
  • 役割:体を守るための「守りのヒーロー」です。傷を治したり、体の中で起こる炎症を促進したりします。炎症は傷や感染症から体を守るために必要な反応ですが、オメガ6脂肪酸を摂りすぎると、体にとって良くない過剰な炎症が起こることがあります。

 

■避けたい油: トランス脂肪酸

  • 特徴: マーガリン、ショートニングなど多くの加工食品やファストフードに含まれています。
  • 役割: トランス脂肪酸は体にとって非常に有害です。心臓病や糖尿病、認知症などのリスクを高めるため、避けることが大切です。トランス脂肪酸は細胞膜を硬化させ、神経伝達を妨げ、情緒不安定や脳のトラブルを引き起こす可能性があります。

 

■オメガ3とオメガ6のバランスが重要

脳と体の健康にとって、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスは非常に重要です。

私たちの普通の生活では、オメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸を摂取しやすいですが、これが過剰になるとアレルギーや炎症を引き起こす原因となります。オメガ6脂肪酸は体に必要な油ではありますが、摂り過ぎると体を守るためのアクセルを踏みすぎて暴走してしまいます。

日常生活でなじみ深いサラダ油、ごま油、紅花油、コーン油、マヨネーズなどにはほとんどオメガ6が含まれており、普通に生活していると摂りすぎる傾向があり、アクセルが踏みっぱなしになるのです。一方、オメガ3脂肪酸は魚やナッツ、フラックスシード(アマニ)に含まれていますが、意識して摂取しないと不足しがちです。

オメガ3脂肪酸はオメガ6脂肪酸の暴走を止めるブレーキのような存在で、アレルギー体質やニキビ、頭痛、鼻炎などの傾向がある人はオメガ3脂肪酸が足りていないことがあります。

■バランスをとる方法

  1. 魚を食べよう:サバやイワシなどの青魚を積極的に食事に取り入れましょう。これにより、オメガ3脂肪酸をしっかり摂ることができます。
  2. ナッツや種を食べよう: クルミやチアシードをおやつやサラダに加えると、簡単にオメガ3脂肪酸を摂取できます。
  3. 植物油を控えよう: サラダ油やファストフードの使用を減らし、加熱調理には酸化しにくいオリーブオイルやココナッツオイルを選びましょう。
  1. ドレッシングにはオメガ3脂肪酸を: オメガ3脂肪酸は酸化しやすいので生で摂ることが理想的です。ドレッシングにはアマニ油やオメガ9脂肪酸のオリーブオイルに塩とレモンを加えるだけで十分美味しくなります。

 

■まとめ

脂肪酸の種類とその役割について簡単にご説明しましたが、油がいかに私たちの健康に欠かせない存在であるかということがお分かりいただけたと思います。

特に大切なのは、頭を柔らかくするためには摂取する油の種類と量が非常に重要であるということです。硬い飽和脂肪酸の摂取量が増えると脳の膜が硬くなり、柔らかい不飽和脂肪酸の割合が増えると柔らかくなります。この柔らかい脂肪酸の代表がオメガ3とオメガ6。

このオメガ3とオメガ6はどちらも体内では合成できない必須脂肪酸ですが、その働きは正反対。

オメガ6は白血球を活性化し、体を守る「守りのヒーロー」として機能しますが、過剰摂取すると逆に体を傷つける恐れがあります。一方、オメガ3はその暴走を抑え、脳の働きを助け、炎症を抑える「スーパーヒーロー」として活躍します。そのため意識的にオメガ6とオメガ3の摂取バランスを整え、炎症反応をコントロールすることが重要です。

しかし、現代の食生活では、オメガ6脂肪酸や飽和脂肪酸、トランス脂肪酸を過剰に摂取しがちです。日常的に使われる油(サラダ油、紅花油、コーン油など)はオメガ6が豊富で、オメガ3を多く含む食品(青魚、アマニ油、えごま油など)はあまり摂取していません。そのため、オメガ6:オメガ3の比率が極端に偏りがちです。理想的なバランスは「2~4:1」と言われています。

オメガ3とオメガ6のバランスは、私たちの体の細胞全ての健康に関わる問題です。どんな油をどうとるか、ちょっとした心がけで体は変わります。

食事をとる際、オメガ3とオメガ6のことを思い出して、おいしい魚やナッツを食べて、元気な脳と健康な体を作りましょう。

 

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