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ストレスと血糖スパイク:血糖スパイクの見つけ方
BY: 池田 由依
2024/10/02
現代社会で私たちは多くのストレスにさらされ、ストレスが健康に与える影響についても広く議論されています。しかし、ストレスが血糖値にも影響を与えることをご存じでしょうか?特に血糖スパイク(急激な血糖値の上昇)は、ストレスとの関連が深く、見逃すと健康リスクを高める要因となることがあります。
血糖スパイクとは?
血糖スパイクとは、食後に血糖値が急上昇し、その後急速に低下する現象のことを指します。糖質の多い食事や飲み物を摂取した後に見られることが一般的です。この急激な変動は、体に負担をかけ、長期的には老化を早めたり、インスリン抵抗性、肥満、糖尿病リスクを高めることがあります。
ストレスが引き起こす血糖スパイク
ストレスを受けて、私たちの体のホメオスタシス(恒常性)が乱されたとき、体は全身の細胞を守るためにHPA軸(視床下部(Hypothalamic)-下垂体(Pituitary)-副腎(Adrenal)軸)が刺激されます。数学の試験から低血糖に至るまで様々なストレスにより、血中のグルコース(血糖)の需要が高まると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌され、コルチゾールが体のバランスを整えて生命を維持できるようにしてくれます。コルチゾールの働きはさまざまありますが、その中の一つであり、血糖スパイクに関連する働きが「血糖値を上昇させる」働きです。慢性的なストレスにより、副腎が疲弊し、結果的にコルチゾールの分泌が正常の範囲内だけれども低下している状態になることがあります。この状態を副腎疲労と呼んでいます。
副腎疲労とは
副腎は腎臓の上についている小さな臓器であり、コルチゾールという血糖値を上げるホルモンだけでなく、交感神経に関わるアドレナリンや、水分代謝に関わるアルドステロン、性ホルモンなども分泌しています。慢性的なストレスにより副腎が疲れると、コルチゾールの分泌量が低下し、血中のグルコース需要が増加しても、血糖値を上げにくくなり、血糖コントロールが安定しにくくなります。その結果、甘いものやカフェインを欲するようになり、血糖スパイクを引き起こしやすくなります。また、慢性的に血糖スパイクが起こっているとそれ自体が体へのストレスとなり、副腎疲労の原因ともなります。
以下の項目で、副腎が疲れていないかチェックしてみましょう。
- 寝ても疲れがとれない
- 朝起きられない
- 休日も疲れて動事けない
- 午前はだるいが午後になると元気になってくる
- 甘いものやコーヒーを欲する
- ささいなことでキレる
- 新しい仕事を覚えにくくなった
- 不安感や焦燥感がわく
- よく便秘や下痢をする
- 運動するのが億劫
- 塩辛いものが無性に欲しくなる
- 風邪や怪我が治りにくい
- 頭がクラクラすることがある
- ストレスやプレッシャーへの耐性が減った
5つ以上当てはまると副腎が疲れている可能性があり、血糖スパイクが起こりやすい状態になっている可能性があります。
血糖スパイクの症状を見つける方法
血糖スパイクを自覚するためには、「食事2~3時間後の体調」と「自分が食べたものと体調変化との関連に関心をもつ」ことからはじめましょう。いくつかの兆候に気を付けることでご自身の血糖スパイクを感じとることができます。
食事2~3時間後の疲労感
食後に突然の疲労感や眠気を感じる場合は、血糖スパイクの可能性があります。急激な血糖上昇後、インスリンの作用で血糖が急速に低下するため、エネルギーレベルが急激に落ち込みます。
頭痛や集中力の低下
血糖値の急激な変動は、脳に十分なエネルギー供給がなされない場合、頭痛や集中力の低下を引き起こします。
食事2~3時間後の急激な空腹感や甘いものへの欲求
血糖値が急降下すると、体は再びエネルギーを補給しようとして、甘いものや高カロリーの食品を欲しがることがあります。
イライラや不安感
血糖値が急激に低下した後に、コルチゾールだけでなく、グルカゴン、アドレナリンなどのホルモンの影響で血糖値が上昇します。それにより、動悸やイライラ、不安感などを感じることがあります。また、慢性的な血糖スパイクにより自律神経の乱れる原因にもなると考えられます。
自分の血糖値を定期的にチェックする
血糖スパイクを正確に把握するためには、血糖値のモニタリングが有効です。連続血糖測定器(CGM)であるFreeStyleリブレ2を用いることで食後血糖や夜間低血糖の有無を知ることができます。上腕の後ろ側にセンサーを取り付けることで皮下の間質液中(細胞と細胞の間にある液体)の中のグルコース濃度を測定しスマホのアプリと連動することで経時的に記録でき、1回の装着で2週間分の記録をつけることができます。
ストレス管理で血糖スパイクを防ぐ方法
ストレスを完全に排除することは難しいですが、副腎をケアしつつ、上手に対処することで血糖スパイクを防ぐことはできます。以下の方法で、血糖値の安定を図りましょう。
朝食を食べる
前夜から食事を摂っていないことで、体に貯蔵されたグルコースは減少していっています。朝食を食べることで、昼食での血糖スパイクを防ぐことができます。また、食事の内容はシリアル、生の果物だけ、というのは避け、できれば未精製の炭水化物(玄米、そば粉、全粒小麦、オートミールなど)や精製された穀類の中なら米やパスタを選ぶ方が、血糖値の安定化につながります。
野菜・海藻・きのこを積極的に摂る
食物繊維は腸内環境を整え、血糖値を安定化させるために重要です。野菜の中でも、特に色の濃い野菜(ブロッコリー、ほうれん草、パプリカ、トマト、人参、キャベツなど)はビタミン、ミネラル、抗酸化物質も豊富に含まれているのでおすすめです。また、海藻(ワカメ、アオサ、昆布、海苔など)は良質なタンパク質も含んでいます。台所に常備し、サラダやチャーハン、味噌汁など常に取り入れやすくしておくとよいでしょう。何か一つだけを沢山摂るというよりは、いろいろなものをまんべんなく摂ることが大切です。
肉より魚を選ぶ
健康的な脂質を摂取することで、体内の慢性炎症を抑え、腸内環境を整えることにつながります。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が1:3だと良いとされているので、料理にメインで使用する油の中では、サラダ油・紅花油・コーン油などがオメガ6脂肪酸、ココナッツ油がオメガ3脂肪酸に該当します。また、普段お肉や加工食品を食べる機会が多い人は、できるだけ青魚(マグロやメカジキなど大型魚類を除く)を選ぶことや、サラダにかけるドレッシングを手作りし、その際にエゴマ油や亜麻仁油を使用することでオメガ3脂肪酸の摂取量は増やすことができます。健康的な脂質を取り入れることで、腸内環境を整え、腸内のカビの増殖を抑え、甘いもの欲求を減らすことができると言われています。それにより、血糖スパイクのリスクを低減させることができると考えます。私自身も食事内容を是正したことで、生理前にやたらにチョコレートなど甘いものを欲することがなくなったことを実感しています。
間食でスナック菓子は避ける
食事と食事の時間が空いたときに血糖値が下がってくると、強い空腹感や眠気、疲労感などが出ることがあります。その状態は体にとっても負担がかかるので、できれば避けたいものです。そのためには、低血糖の症状(強い空腹感、不安感、寒気、脱力感、眠気など個人差あり)が現れたらすぐに栄養のあるものを摂るのがよいです。例えば、11時と15時くらいに補食としてナッツや小さめのおにぎり、栗、ゆで卵などを選ぶ方法があります。
まとめ
ストレスは目に見えにくいものですが、その影響は血糖値に如実に現れることがあります。日常生活の中で、疲労感やイライラ、急な空腹感などの兆候を見逃さず、適切な対処をすることが大切です。ストレス管理や生活習慣の改善を通じて、血糖スパイクを未然に防ぐことが、長期的な健康維持に繋がるでしょう。血糖値のコントロールを意識し、ストレスに負けない健やかな毎日を送りましょう!
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