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食事と血糖スパイク
BY: 池田 由依
2024/07/11
血糖スパイクを改善する上で食事の管理は必須です。血糖スパイクを起こしやすい食品と起こしにくい食品があることを知り、効果的な食べ方を分かり、血糖スパイクを起こしにくい体づくりに取り組めるように説明していきます。
血糖コントロールにおける食事の重要性
血糖スパイクを起こしやすい食事
同じく糖質が含まれる食品でも、血糖スパイクを起こしやすい食品と起こしにくい食品があります。
●血糖スパイクを起こしやすい食事
①高GI(グリセミック・インデックス)の食品
ブドウ糖の糖質吸収速度を100としたときに、70以上の吸収速度のある食品が高GI食品とされています。例えば、精白米、食パン、ハチミツ、ジャガイモなどがあります。
※参考 食品のGI値
逆に、血糖値を上げにくい食品としては肉や魚、野菜や海藻類が該当します。
②砂糖や甘い飲料
ドリンクやスナック類に含まれるグラニュー糖・上白糖・ブドウ糖は急速に吸収され、血糖値を急上昇させます。ソフトドリンクやジュース、菓子類などが該当します。
③大量の食事
「腹八分に病なし、腹十二分に医者足らず」という諺がありますが、腹八分程度で食べていれば医者はいらず健康に過ごすことができるという意味です。漢方では、食べ過ぎは「瘀血」と呼ばれる血液が老廃物で汚れている状態を招くとされ、単純に糖質の量が多いから血糖スパイクを引き起こしやすいというだけではなく、たとえ低GI食品だとしても一度に食べ過ぎることは血糖スパイク同様、血管に悪い影響を及ぼします。
血糖値のコントロールにおすすめな食事法
血糖値の乱高下をしやすい方が、外食や高GI食中心の食事を続けたり、忙しく食事の時間の間隔があいてしまったりする場合には血糖値の乱れが生じている可能性があるので注意しましょう。
以下に血糖コントロールにお勧めの食事法を提示します。
①朝食を必ず食べる
お腹が空いていなくても食べましょう。朝食を食べることで、昼食後の血糖スパイクを防ぐことができます。
②10時、15時頃に補食を摂る(昼食前や夕食前に眠気・不安感・疲労感が出る人向け)
空腹時間が長くなりすぎないようにすることで血糖スパイクを防ぐことができます。
摂りやすいお勧めの補食:
そぼろおにぎり・栗・ゆで卵・子魚・ナッツ・くず粉入りスープ
③パンより米を食べる
パンが良い場合は、精製パンより全粒粉パンを選びましょう。
③おやつの種類を変える
スナック菓子と野菜ジュースなら、ナッツとノンカフェインティーを摂りましょう。
④よく噛んでゆっくり食べる
ドカ食い・ながら食い・早食いをやめ、一口30回以上は噛んでゆっくり食べることで糖質の吸収を穏やかにすることができます。
⑤食べる順番を気にする
野菜・海藻➡肉・魚・卵➡米・パン の順番で食べましょう。
炭水化物を最後に摂取することで糖質の吸収を穏やかにすることができます。
⑥果物を主食にしない
果物に含まれる果糖も立派な糖質なので摂りすぎには注意しましょう。
絶対○○は食べないと決めてしまうとストレスになり、それも血糖上昇の一因になるので無理なく楽しくできる範囲で取り組んでみることがポイントです。糖質は体の大事なエネルギー源でもあるので適切に摂っていきましょう。
糖質コントロールのためのミトコンドリア活性化
疲れたときに甘いものが欲しくなった経験があると思います。しかし、甘いものを食べても食べても疲れが取れないということはないですか?そのような状態は血糖スパイクを防ぐ食生活をしていく上で弊害になってしまいます。
漢方ではそのような状態を「気」が不足していると考えます。
「気」が不足していると以下のような症状が出る場合があります。チェックしてみましょう。
□疲れやすい・だるい・やる気がでない
□無理をすると次の日動けないことが多い
□甘いものが欲しくなる
□階段を上るのがつらい
□少し動くと動悸がする
□風邪をひきやすい
□冷えやすい
□朝弱い
□食後眠くなる
□胃腸が弱い
□汗っかき
□内臓下垂ぎみ
□(女性)月経の出血が長引く
□(女性)排卵時の高温期の体温の上昇に時間がかかる
私達の体は約37兆個の細胞でできていますが、小腸で吸収された栄養は血管や肝臓を通過して全身の細胞に運ばれていきます。
全身の各細胞の中にあるミトコンドリアという器官は、食事から運ばれてきた栄養素を元にして「エネルギー」を作っています。
「気」が不足する体質の人にとっては、ミトコンドリアの機能を活性化することが、しっかりとエネルギーを体中に満ち溢れさせることになるので特に重要になります。
●ミトコンドリアの機能を活性化するために必要なミネラル
①ビタミンB1
豚肉(ひれ)、うなぎのかば焼き、絹ごし豆腐、玄米
などに多く含まれています。
②ビタミンB2
豚レバー、うなぎのかば焼き、納豆、鶏卵、マガレイ、まいたけ、干し海苔、わかめ
などに多く含まれています。
③マグネシウム
木綿豆腐、キンメダイ、ひじき、ほうれんそう、とうもろこし、かぼちゃ、わかめ、クルミ
などに多く含まれています。
また、マグネシウムは経皮吸収されるので、入浴剤としてエプソムソルトを使用することも良いでしょう。
④鉄
アサリの水煮、豚レバー、レンズ豆、マイワシ、こまつな
などに多く含まれています。
⑤ナイアシン
カツオ、たらこ、鶏むね肉、豚レバー、クロマグロ、まいたけ、マサバ
などに多く含まれています。
⑥コエンザイムQ10
大豆、くるみ、アーモンド、ホウレンソウ、イワシ、牛肉、鶏肉
などに多く含まれています。
●ミトコンドリア活性化のために必要な行動
①サラダ油をココナッツオイルにする
ココナッツオイルは他の油よりミトコンドリアの原料になりやすいためです。
②食事の中で酢の物を摂る
酢の物に含まれる酢酸は胃酸の分泌を高め、適切な胃酸分泌はマグネシウムやカリウムなどのミネラルの吸収を高めてくれます。
また、胃の消化力の弱りを感じる際には梅干しに含まれるクエン酸も胃酸分泌の助けになるでしょう。ただし摂りすぎは胃酸過多や塩分過多につながるので注意が必要です。
③糖質の過剰摂取をしない
糖質の過剰摂取はビタミンB群の浪費につながりミトコンドリアの働きを悪くさせ効率的なエネルギー産生の妨げになってしまい疲れやすい体になる可能性があります。
低GI食品を摂ることが血糖スパイクを防ぐことにつながりますが、それだけではなく糖質を摂りすぎないことも、さらなる糖質過剰摂取を生まないために重要な取り組みになります。
※糖質を多く含む食品
糖というと、お菓子に入っているイメージがありますが、実際に以下の示した食品は糖質の多い食品となります。
例)スパゲッティ(一皿71.2g)、うどん(一玉52g)、ベーグル(1個49.5g)、そば(一玉38.4g)、ごはん(茶碗一杯36.8g)、かき(1個33.8g)、バナナ(1本28.2g)、食パン(1枚26.6g)など
④腸内環境の改善をする
腸内環境を整えることで、鉄やマグネシウムの吸収改善につながります。
⑤カルシウムの過剰摂取をしない
血中のカルシウム濃度が高まると鉄、亜鉛、マグネシウムなど他のミネラルの吸収を阻害します。サプリメントで摂る場合には、カルシウム:マグネシウムが1:1の製品が好ましいです。
⑥肝機能改善(胆汁分泌の適正化)
胆汁の分泌が低下していると、コエンザイムQ10の吸収が低下してしまいます。
まとめ
適切な食事選択と食事のスタイルを工夫することで、血糖値の安定化と健康維持が可能です。日常生活で意識して食事を見直し、糖質の過剰摂取を避けることが重要です。バランスの取れた食事と健康的な生活習慣を心がけましょう。
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